食品ロス対策にドギーバッグがアツイ!? 3分の1ルールと持ち帰り禁止。食べられるのに捨てられる不条理って??
みなさん、こんにちは。はぴらきです。
大変ごぶさたしてしまいました。仕事の繁忙期が続いたうえ、気候の変動などで体調を崩していました。
ところで、「ドギーバッグ」ってご存じですか?
先日、新聞で見たフードロスの記事のなかでドギーバッグという言葉を初めて見ました。
ドギーバックの発祥は、アメリカの外食産業です。
食べ残した料理をお客さんが持ち帰ための容器で、「犬に食べさせる」という名目で持ち帰ったことから名づけられたそうです。
ふと思い出して探してみたら、実は、我が家にもありました。
記憶を探ってみたのですが、ずいぶん前に環境系のイベントでもらったものらしいです。(すっかり忘れてる~~)
ポリプロピレン樹脂でできているので、丈夫です。
これを広げるとこんな感じです。
折りたたむとこんなにちっちゃくなります。
なんとまさに「Enjoy Ecological Dog Life with DOGGYBAG」って書いてますね。
「ドギーバッグでエコロジカルなドッグライフを楽しみましょう」だそうです(笑)
語感的にはいまいちですが、このドギーバッグ。食品ロスの解決のひとつとしても奥が深そうでした。
マイバッグに続き、この先にはちょっと新しいムーブメントになるのではないかという予感がします。
社会問題化している食品ロスの問題と、家計にも体にも優しくてすぐできそうなことについて調べてみました。
食品ロスの現状
私は以前、ホテルの宴会場で洗い場のアルバイトをしたことがあります。
毎回、大量の食べ残しが出ていました。中にはお料理が手つかずのものもありました。
ホテルの料理ですから、食材もそれなりのものを使っています。
「生もの」なので仕方がないのかしらと、処分しながら、最初は疑問と罪悪感でいっぱいでしたが、いつしか機械的に処理していました。
イベント好きの日本人
例えば、節分のときの「恵方巻」。
今では季節商品として定着していますが、以前、恵方巻の大量廃棄問題はネットなどでも拡散されて話題になりましたね。
節分が終われば、生ものなので翌日には廃棄されます。
このほか、クリスマス、バレンタイン、ハロウィンといった楽しいお祭りごとやイベントも、その裏側にはこうしたした大量廃棄の実態があります。
残念ながら、企業にとってお金儲けにならないイベントは、日本では広まっていかないというのも現実です
経済が発展するためには、必要なことかもしれません。
批判をするだけでなく、それを欲している私たちにも責任あるわけです。
イベントが終われば翌日には賞味期限が残ってても廃棄されてしまうという現実を知っておきたいですね。
世界への食糧支援と国内の食品ロスは?
少し視点を広げてみましょう。
農林水産省の統計によると、日本国内の食品廃棄量は2,800万トンで、食品消費量のなんと三割にもなるそうです。そのうち食品ロスが643あ万トンです。
「食品廃棄物」とは食品由来の廃棄物のことで、そのうちの食べられる部分が「食品ロス」です。
参考:食品ロス量(平成28年度推計値)の公表について:農林水産省
この数字は、よくの世界食糧計画(WFP)*1の食糧支援の量と比較されます。
ちなみに、以下はWFPの栄養不足の人口割合を表した地図です。
日本の食品ロス量の643万トンというのは、WFPが年間に支援す食糧支援量320万トンの実に2倍にもなります。
数字のケタが大きくて想像しにくいですけれど、
とにかく食べられるのに捨てられる「食品ロス」が社会問題化しているということを理解いただけたでしょうか。
日本特有の「3分の1ルール」と「食べ残しの持ち帰り禁止」
ちょっとグローバルすぎて、あまり身近に感じられませんよね。
では、視点を我が国に戻してみましょう。
世界の飢餓の話しをしましたが、忘れてはいけないのは、飢餓・貧困はほかの国だけではなく、日本でも起きています。
子どもの貧困なども取り上げられ、全国で子ども食堂も立ち上げられています。
他人ごとではないですよね。
日本は優れた食品衛生管理と、「もったいない精神」が根づいていることで食品ロスが抑えられている側面があるそうです。
それでも日本で食品ロスの発生が減らないのは、日本特有の問題があるからです。
そのポイントとなる、二つの問題を見ていきましょう。
3分の1ルール
製造業~スーパーや飲食業など流通業にある3分の1ルールという慣習があります。
フードロスが発生する原因となる、日本のフードサプライチェーンの仕組み / 出典:『食品ロスの経済学』(著・小林富雄)図は賞味期限が6か月の例。
3分の1ルールは、賞味期限の3分の1までが小売店への納品期限、その次の3分の1までが消費者への販売期限とする食品業界のルールです。
つまり、6か月の賞味期限の場合、製造後2カ月以内に小売に納品しなければならない。そして次の2カ月以内には消費者に売らなければならないというものなのです。
期限を過ぎれば返品されます。これらは廃棄処分になるので食品ロスになってしまうのですね。
このように返品が多くなるのは、客足が遠のくのを恐れて、欠品をしないようにボリュームある陳列をして見栄えをよくしようとすることから来ます。
ですが、もともとは私たち消費者のニーズがあるからだというのは忘れてはいけないですよね。
外食の食べ残し
消費者の意識から食べ残しについて、リクルートライフスタイルが「食べきれなかった外食の持ち帰り」について意識と実態を調査(2018年5月発表)を行っています。
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外食で食べきれなかった料理の持ち帰りに「賛成」87.6%
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直近1年間で実際に料理を持ち帰った人は35.4%
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持ち帰りのハードルは「持ち帰りができる飲食店なのか分からない」
というアンケート結果になっています。
もったいないから持ち帰りたいが、持ち帰っていいのかわからないため、実際に持ち帰った人は3割くらいという状況のようです。
なるほど、実感的にわかりますよね。
これまた私の経験です。
とある飲食のお店で、食品を作って売るというアルバイトをしていました。
ここのお店では。食品衛生は徹底していました。
売れ残りのもの、期間限定キャンペーンで仕入れた食材など残っても、スタッフも持ち帰り禁止。その日のうちに廃棄処分でした。
ですからお客様の持ち帰りも、一部、揚げ物のみ受けていましたが、基本的にできません。
食中毒などを出したら営業停止のリスクがあるので、この点はかなり神経質になっていました。
スタッフ研修も行われ、現場でも店長やスーパーバイザーからも指導されました。
このように衛生面のリスクからお店側で断るケースが多いのが現状です。しかし、近年、食品ロスの削減にむけて対応する動きも広がってます。
外食産業からは、食品ロス全体の3割強が出ています。
実はそのなかでも「食べ残しによるものが相当程度占めている」とされています。
国も動いてます
食品ロス削減として、国も食べ残しについて取り組んでいます。
農林水産省は、飲食店等における食べ残し対策(農林水産省)を公式サイトに掲載しています。
また、消費者庁、農林水産省、環境省、厚生労働省が連名で飲食店等における「食べ残し」対策に取り組むに当たっての留意事項を発表して、国としても食べ残しについて本格的に取り組んでいます。
食べきりの促進、食べ残した場合の持ち帰りは自己責任で行なうこと、食中毒のリスクなど留意すべき点を箇条書きで書いていますので、一度ご覧になってみてください。
年間600万トン超の食品ロスについては、農水省も対策に乗り出しています。
2015年の国連サミット採択の「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で、食料の損失・廃棄の削減を目標として設定されたんですね。
それを受けて2017年に農水省も「食品ロスの削減とリサイクルの推進」という指針を打ち出していました。
今年(2019年)の初めには、農林水産省は「食品ロス」対策に動き出し、国会でも貧困世帯などに余った食品を配る「フードバンク活動」の議員立法の動きも活発化していたんです。
そして5月24日の参院本会議で、「食品ロス削減推進法」が、可決、成立し食品ロス対策に本腰を入れることになりました。
消費者庁は、外食時の「食べきり」の啓発促進についてニュースレリースを出しました。
外食時のおいしく「食べきり」ガイドや、持ち帰りできることを示した店舗ステッカーの事例なども紹介しています。
そして「クックパッド」に「消費者庁のキッチン(公式ページ)」として、「食材を無駄にしないレシピ」も紹介してます。
メニューも募集しているみたいなので、よかったら応募してみてはいかがでしょうか。
食品ロスを減らすためにできること
個人でできるアクションには、こんなことが考えられます。
- なるべく自炊する
- 「おすそ分け」を楽しむ
- 買い物の工夫で食品の廃棄を減らす
- 冷蔵庫を買い替えるなら小さめにする
- 保存食を覚える
- フードバンクを応援する
- フードシェアリングを利用する
これらのアクションのうち、食べ残し対策のひとつとして、ドギーバッグについて調べてみました。
外食の持ち帰りとドギーバッグ
外食する時は、おなかと相談して適量注文で残さないのが一番です。
でも予想外に食べきれないこともありますよね。
そういう場合、ぜひ、お店の方に声をかけて持ち帰りさせてもらいませんか?
発祥のアメリカでは「ドギーバッグ」が当たり前のように普及していて、残すと「なぜ持ち帰らないの?」と店員さんにいわれることもあるそうです。
食べ残しの持ち帰りは日本の高い衛生管理意識などがあり、今のところ一般的ではありませんが、残ったお料理が持ち帰りやすい環境が整えば、無駄な廃棄食品の量が減りますね。
ドギーバッグは発祥はアメリカですが、もともと日本には持ち帰りの習慣がありました。
茶懐石では食べきれないもの、お魚の骨でさえ皿には残さず、懐紙に包んで持ち帰るのがマナーです。
私の田舎でも、結婚式によばれれば食べきれないお料理を持ち帰ってきて、家族もお祝いのおすそわけをいただいていました。
ですから、大量に食べ物が捨てられるなんて昔の日本にはなかったように思います。
言ってしまえば、ドギーバッグは日本の習慣の逆輸入バージョンといえそうですね。
ところで、ドギーバッグの持ち帰りを普及しているドギーバッグ普及委員会という団体でがあります。
ドギーバッグ「お持ち帰り」ガイドラインを出していますので、参考にみてみましょう。
持ち帰るときは「自己責任」がポイントになります。
持ち帰りの基本は、細菌を「つけない」「増やさない」「殺菌」が原則です。
このラインを守って、お店とスマートなコミュニケーションをとれたら、成熟した社会の一端を担えそうですね。
- ドギーバッグを清潔に保つ
- 寄り道をしない
- 怪しいと思ったら捨てる勇気を持つ
など、安全性に配慮し、お店の方と気持ちいいコミュニケーションをとってこその「自己責任」です。
折りたたみできるボックス、オリジナルトートバッグ、「自己責任カード」などがセットになっています。
名刺大の「自己責任カード」で、お店に対しての意思表示をすることもできます。
またこのようなステッカーを掲示して、持ち帰りに協力されているお店もあります。
おしゃれでセンスのいいドギーバッグがあれば、持参しても持ち帰りに躊躇しなくてすみそうですね。
まとめ
食べられるのに捨てられる「食品ロス」が社会問題化しています。
食品ロス削減は世界の潮流になっていて、日本も国レベルで取り組み、食品ロス削減法も制定されました。
日本の食品ロスは、世界の食糧支援量の2倍になってますが、その要因は日本特有の食品業界の「3分の1ルール」と高い衛生管理からくる「食べ残しの持ち帰り禁止」。
ですけど、もったいない精神が根づいている日本だからこそ、消費者としてできることがありそうです。
冷蔵庫の食品や外食の際は食べきるなど、ちょっとしたことから削減に貢献できそうですね。
そして、今回のポイントの一つはマイ「ドギーバック」!
これからおしゃれなドギーバックが出てきそうな予感がします!
次回はフードシェアリングについて紹介します。
◆今日は2019年7月8日(月曜日)◆
旧暦:二〇一九年六月六日(水無月)(日干支:丙午(ひのえうま) の日)
*1:※世界の飢餓対策や緊急食糧援助などを行う食糧援助機関